怒ってる人って、いい人なんだよね。
親愛なる君に

イッセー尾形さんの新作公演で、笑ってきました。
イッセーさんのお芝居は、
タイトルが、ビデオになってからでないとわからないのだけど、
勝手に自分でつける楽しみがあります。
今回は「探偵男」「説得上司」「癒し系女」「関西系骨董屋」
「引越しバイト男」「子だくさんパパ」「夜警男」。
ね、タイトルを見るだけで面白そうでしょ。
イッセーさんは、衣装や髪型やメイクを変えるのだけど、
一番変わるのは、本当は変えられないはずの「目」なんです。
「癒し系女」では、目がウルウルになってるし、
「引越しバイト男」では、オドオドになっているのが凄い。
一つ一つの話のトーンにバリエーションがあるのも、楽しい。
「夜警男」は、民話風だし、
「引越しバイト男」は、世にも奇妙な物語風だ。
怒ってる人の、人の良さが出ているのも、面白い。
「探偵男」「子だくさんパパ」「説得上司」なんか、
怒ってるのにいい人なんだよね。
「子だくさんパパ」で、浮き輪を膨らませながら
怒ってるところが、最高。
登場人物が、複数になったとき、
主人公以外の二人の会話を聞くイッセーさんの聞き方が、最高。
「説得上司」のダメ部下とその母親の会話を聞く、
イッセーさんの表情が最前列の席で、味わえた。
いつも最後に出てくる歌も、期待を裏切らなかった。
イッセーさんは、日本で稀有の
音楽と芝居とコメディのできる天才ですね。
オチが、宙ぶらりんで終わるのも、イッセーワールドの魅力。
その中では、「子だくさん男」の「あっ、今、6人目が生まれたな」
と直感するラストが、ダイナミックだった。
今回では、僕は、このオチが、びっくりした。
最後まで出てこない奥さんの気配が、感じられるのです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
今度、イッセーさんのお芝居を一緒に見に行こう。