知は、情にはかなわない。
親愛なる君に

経済界主幹の佐藤正忠さんは、僕の本に、
いつも直筆の感想文を送ってくださいます。
あんなに偉い方なのに、さすがです。
読んでいただくだけでも、大変なことなのです。
オフィスにも呼んでいただいて、いいお話を伺いました。
もっとも印象に残った二つの言葉は、こうです。
「一流の人に会いなさい」
本物の人に会うと、偽物がわかるということなのです。
もうひとつは、こうです。
「知は、情にはかなわない」
知を学び書くより、情を学び書きなさいという教えです。
なるほどな、と深く心を打たれました。
これから書く方向を教えていただいた気がします。
佐藤さんはいつも、杖をつきながら、エレベーターのところまで
見送ってくださいます。
これも、感激ですね。
あとで聞くと、前夜遅くに中国から帰られたばかりでお疲れなのに、
朝の10時から時間を作って、会っていただいたということがわかり、
再び感激。
ご挨拶をしてから、オフィスのビルの一階にある虎ノ門書店に入り、
本を買いました。
すると、杖をつきながら、佐藤さんが書店に来られました。
そのエネルギーに、三度感激。
まだ勉強しようとされる姿に、僕はお声をかけずに、
秘書の方に、会釈だけして、帰りました。
しびれる人、しびれる出来事でした。

                        中谷彰宏拝
P.S.
「知は、情にはかなわない。」というタイトルで、本を書きます。