池袋の文芸座が、僕の学校だった。
親愛なる君に

休館してた池袋の「文芸座」が、「新文芸座」として、再開する。
僕の青春の学校は、2つある。
ひとつは、京橋のフィルムセンター。
もうひとつが、文芸座だ。
土曜日の夜は、「50音順、日本映画監督特集オールナイト」に、
毎週通っていた。
休憩の終わりを告げるベルが、寝ぼけまなこにじりじり響いていた。
夜の10時から5本見て、朝、外に出てくると、どんよりと空が曇ってて、
ディスコ帰りのような脱力感とともに、池袋までの道を黙々と歩いた。
「文芸地下」も、柱のある劇場「ル・ピリエ」も、思い出でいっぱいだ。
映画専門書店で、アートシアターのバックナンバーを買った。
文芸座がなかったら、
僕の人生は、変わっていたに違いない。

                        中谷彰宏拝
P.S.
今度、一緒に、新文芸座に見に行こう。