涙をこらえる男にも、感動。涙を流す男にも、感動。
(南極越冬隊)
親愛なる君に

最近、どうも涙腺が弱くなった。
いや、子供の頃から、泣き虫だった。
最近、ますます泣き虫になった。
大人の男が泣いてるのをみると、つられて、涙がこぼれてしまう。
NHK『プロジェクトX』の「第1回南極越冬隊」の話も涙が出た。
ある若い隊員の人が毎晩、徹夜でオーロラの観測をしていた。
疲労から、つい眠ってしまい、火事になった。
観測データや観測機を、パーにしてしまった。
3日後、西堀榮三郎副隊長に呼び出された。
怒られるかと思ったら、
新しい観測機を、手作りで作ってくれていた。
「君を、手ぶらで帰すわけには、いかんからなあ」
失敗については、ひとことも言わなかった。
30年以上前の話を思い出して、その人は、しばらく黙った。
そして、「ちょっと、すいません」と、ひとこと言って、
ゆっくりメガネをはずした。
次の瞬間、目を手で覆って、号泣した。
メガネをはずす瞬間に、僕も、涙が出た。

                        中谷彰宏拝
P.S.
書きながら、また、涙が出た。