作品ではなく、作者の魂が、読者に入り込む。
(アレクサンドル・デュマ)
親愛なる君に

『モンテ・クリスト伯』を書いた作者のことまで、考える余裕はなかった。
作者のアレクサンドル・デュマは、凄い人だった。
19世紀の流行作家の走りの人だった。
なんといっても、その膨大な著作数に、惚れ惚れする。
400字詰め原稿用紙で数千枚の長編小説を数十編、中編小説を150編、
戯曲を91編、回想録を30巻、紀行文を19巻、膨大な料理事典、
8種類の新聞雑誌を創刊編集、生涯に600冊以上の本を出版している。
それだけではない。
ヨーロッパ中をくまなく旅行し、おおっぴらに連れ歩いた愛人だけでも34人、
子供は、100人以上いたという怪物だ。
その怪物が、40代の前半に書いたのが、『モンテ・クリスト伯』だった。
『モンテ・クリスト伯』の印税5億円を、4年で使い切って、
破産宣告をしたというのも凄い。
僕は、小学生の時に、『モンテ・クリスト伯』を通して、
デュマの怪物的なパワーの洗礼を受けて、
今日にいたっているに違いない。

                        中谷彰宏拝
P.S.
それを知って、眠れなくなったよ。