キスシーンより感動的な、ラブシーンがある。
(『HERO』)
親愛なる君に

キスシーンやベッドシーンだけが、
ラブシーンではない。
本当のラブシーンは、キスシーンやベッドシーン以外にある。
僕は、キスシーンやベッドシーンじゃないラブシーンを
描きたい。
『HERO』最終回は、やられた。
「サッカーのカメルーンの選手11人が言えたら、
 ワールドカップの試合に連れてってやる」と
木村拓哉さんに言われたのを覚えていて、
松たか子さんが、ラストで暗誦していく。
アフリカの選手の名前だから、よけい味わい深い。
こんな愛の告白は、見たことがない。
まるで古舘伊知郎さんの『しあわせ家族計画』で
暗誦できたら100万円みたいで、感動する。
愛の告白は、実は告白じゃない。
返事なのだ。
その伏線は、遠いほど、インパクトは大きい。
相手が忘れているくらい離れた時、
テニスで言うと、高い高いロブみたいに
ポトンと落ちてくる。
返事が返ってこないからと、諦めてはいけない。
返事までの時間は、長いほど、感動は大きい。

                        中谷彰宏拝
P.S.
そろそろ、君の目の前に僕の返事が落ちてくる頃だよ。