本を出したい人は、作家よりも、出版社に完成原稿を送るのが速い。
親愛なる君に

「本を書きたいんですけど、アドバイスしてください」
というご相談のお手紙をよくいただきます。
これから、そういう相談をしたいなと思う人もいると思うので、
アドバイスします。

<(1)作家に送るよりは、出版社に送るほうが速い。>
作家に送っても、作家が出版してくれるわけではない。

<(2)あらすじや企画書ではなく、書き上げた作品でないと、見てもらえない。>
ほとんどの人が、まだ完成させていない段階で、
アドバイスしてくださいと言います。
完成させないと、アドバイスはできません。

<(3)どんな世界でも、紹介はまったく役に立たない。>
作家に気に入ってもらったとして、出版社に紹介してもらうと、有利か?
まったく有利ではない。
時間のムダという不利しかない。
「紹介してあげましょう」という言葉にだまされると、時間のムダになります。

<(4)とにかく100部コピーして、100社に送る。>
どこの出版社に送ればいいかといえば、たくさん送るのが一番速い。

<(5)1か月して、1社からも返事がなければ、次の100社に送る。>
1か月以内に返事がある確率は、1%とみていい。
出版社には、無限の完成原稿が山積みになっている。

<(6)これを、30か月くりかえす。>
日本の出版社の数は、3000社と言われています。
たった2年半で、すべての出版社に送ることができます。
毎月に送るコピーの数を、2倍にすれば、1年ちょっとで、
すべての出版社に送ることができます。
これが、もっとも速い方法です。

「どんな出版社があるかわからない」と言う人がいます。
図書館や本屋さんに行けば、本の最後にいくらでも書いてあります。
結局その人は、「わからない」のではなく、
「本を書く情熱が、あまりない」ということに過ぎないのです。
このアドバイスを読んで、ムッとする人は、
残念ながら作家にむいていないので、
ほかの仕事を探すことをおすすめします。
頑張ってください。

                        中谷彰宏拝
P.S.
作家の実生活を知っているというだけで、誰もが味わえないことを
君は味わってるね。