芸術じゃなく、芸能を目指す。
(劇団☆新感線・いのうえひでのり さん)
親愛なる君に

劇団☆新感線の演出家、いのうえひでのり さんにお会いしました。
劇団☆新感線は、お芝居が始まる前に、もっともドキドキする劇団です。
芝居が、始まってからドキドキするのではありません。
小屋に近づきながら、ドキドキするのです。
劇団☆新感線の公演は、開演前に、「ドンドンダンッ、ドンドンダンッ」という
テーマ曲のドラムが響いています。
それを聴くために、劇場に早めに入ります。
僕の最大の関心は、「おもしろ、かっこいい」ということです。
面白い人もいます。
かっこいい人もいます。
僕が、もっとも好きなのは、男も女も、「おもしろ、かっこいい」人です。
「おもしろ、かっこいい」の中には、
不気味さ・謎・不条理・エッチ・自分勝手など、
さまざまな要素が入っていて、ひかれるのです。
「面白さ」と「かっこよさ」は両立するのではなく、
どちらもなければ、成立しないものなんでしょうね。
「自分がやってるのは、芸術じゃなくて、芸能なんだよね」
と、いのうえ さんは言いました。
「芝居というより、コンサートや、お祭りをしたい」
とも言いました。
小劇場出身の人は、「わかるやつだけ、見ればいい」と言う人が多い。
でも、いのうえ さんは、言いました。
「『ハムナプトラ』や『パール・ハーバー』を見てる人に、見せたい」
このメジャー感が好きです。
開演前のヘビーメタルは、お祭りの太鼓なんですね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
劇団☆新感線のお祭りに一緒に行こう。