抵抗するのは、利権ではなくて、郷愁なのだ。
(東大駒場寮)
親愛なる君に

「東大駒場寮」の取り壊し作業に反対する学生達の姿を
ニュースで見ました。
駒場寮にいた者として、感慨無量でした。
というと、東大生だったのかと思われるかもしれませんが、
東大生以外の学生や、そもそも学生でない人も、大勢住んでいました。
それが、駒場寮のワイルドさだったんですね。
駒場寮には、東大ではなく、旧制一校の雰囲気が唯一残っていました。
取り壊しの話は、僕がいた頃からもすでにあって、
反対してバリケードを作って抵抗するのは、
学生運動も、イデオロギーもまったく関係ないんです。
ただ懐かしんでするお祭りみたいなものなんです。
政治でも経済でも、何かを壊そうとすると利権を持っている人は
抵抗するけど、それは単なる利害というだけではなくて、
もっとセンチメンタルで、ささやかな感傷なんでしょうね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
駒場寮のワイルドライフについて、話してあげよう。