せめて、お辞儀と走ることだけは、忘れないようにしよう。
(福岡ドーム始球式)
親愛なる君に

福岡ドームの始球式、やってきました。
「プロじゃないから、楽しんで」と自分に言い聞かせながら、
やりましたが、そんな余裕は、ありませんでした。
3日前に、150球を投げ込んで、中2日のピッチング。
首位攻防戦をしている緊迫感の中、
ひたすら、プロの邪魔にならないことと、
4万8000人の観客のヒンシュクを買わないように、
爽やかさに、徹しました。
球場のマスコットレディが、ダンドリを説明してくれました。
「やっぱり、マウンドに出ていくときは、走るんですよね」
「いえ、歩かれて大丈夫です」
グラウンドでは、走るというマナーを子供のときから、教えられていました。
「お辞儀は、ホーム、1塁側、3塁側、外野の4方向に、
始める前と、投げ終わった後に、それぞれしなければいけないんですよね」
「いえ、そんなにされなくていいです」
事前に、名前を書かされるのですが、
「学校名」の欄に、「鳳小学校」と書いたら、
電光掲示板に、でっかく、「中谷彰宏 鳳小学校」と出ていました。
「ためすぎては、いけない」と思いながら、投げましたが、戻ってくると、
「結構、ためていました」と、
美人広報の八田美穂子さんに言われました。
「渡辺謙さんは、ストライクを投げられました」と、
八田さんは、ビシビシ、プレッシャーをかけてくれます。
渡辺さんは、野球をずっとやってたんですよ。
小学校時代からのグラブを持ち、ポケットには、
1971年の「南海ホークス子供の会野球大会参加賞」のメダルを
お守りがわりに忍ばせて、投げました。
『巨人の星』だったら、その1球で、4週分は放送できたくらいです。
球よりも、フォームだと、僕は、振りかぶりました。

                        中谷彰宏拝
P.S.
さて、この続きは、明日のレターで。