力を抜いた大きな力がある。
(榎木孝明さん)
親愛なる君に

浅見光彦シリーズの『津軽殺人事件』の撮影で、
榎木孝明さんとご一緒しました。
榎木さんは、もっとも、役の上の浅見光彦と、原作者の内田康夫さんに
雰囲気が似ています。
旅人とモノを書く人間のオーラがにじんでいるのです。
榎木さんは、不思議な空気を持っています。
動きにも、言葉にも、表情にも、変な力が
ひとつも入っていないのです。
以前、榎木さんがラジオで紹介していた水の本を、
注文して買って読んだことがあります。
空気中のプラーナという物質を食べることで、
山で遭難しても、おなかがすかないという話も聞きました。
榎木さんの精神世界が、心地いいんですね。
画集『光と影の交差点』『空の詩』もいただきました。
ふだんも、お芝居をしているときも、
榎木さんの目線は、画家が対象をぼんやり見つめる目線のようでもあり、
居合抜きの達人が、相手を静観する目線でもあります。

                        中谷彰宏拝
P.S.
精神世界の話を、しよう。