好きなのに、なんでそれしかやらないの?
(高橋尚子選手・小出義雄監督)
親愛なる君に

締め切りを追いかけながら、
「ベルリン・マラソン」を見てしまいました。
今回は、世界新記録との戦いだったので、
1キロごとのタイムを気にしながらの観戦で、
ゴールした時には、どっと疲れました。
実際に走っている高橋尚子選手のほうが、
ゴールしたあと、息ひとつ切れていなかったことに、感動しました。
その前に竹中直人さん演じる小出義雄監督のドラマ『君ならできる』で、
すっかりテンションがあがっていました。
あのドラマの中で、いちばん感動したのは、二人が出会うシーンです。

Qちゃん「走るのが、大好きなんです」
それを、聞いて小出監督は、ニコニコします。
小出監督「そうかあ、それはいいなあ。で、で、どれくらい走ってんの?」
Qちゃん「一日20キロです」
小出監督「えっ?……」
Qちゃん「毎日ですよ」
小出監督「……なんで、それしか走らないの?」
その時の小出監督のさびしそうな顔と、Qちゃんの驚いた顔が、
二人の原点なんですね。

僕は、書くことが好きで、毎年60冊本を書いて、
今年は、90冊くらい書きそうだけど、
「本を書くことが好きなのに、なんでそれしか書かないの?」
って言われた気がしました。
マラソンを見ている間じゅう、世界中の人が、
「好きなのに、なんで自分は、それだけしかやらないのか」
と、自分に聞いていただろうね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
さて、いよいよ、アイバンク主催のマラソン大会のテンションも
あがってきたよ。