「送らないで、もっていらっしゃい」
(岡本敏子さん)
親愛なる君に

コシノジュンコさんの新しいショップのオープニングパーティで、
岡本太郎さんのベストパートナーだった岡本敏子さんとお話ししました。
前からずっと、お話ししたかった方です。
敏子さんが館長さんをされている岡本太郎記念館に何度も訪れていて、
両親が来た時も、連れて行った話をしました。
岡本太郎さんが、作品を壊しているところを僕に見せて、
父親が、「作るとは、こういうこっちゃ」と、教えてくれた話もしました。
原美術館で、横尾忠則さんの滝のポストカード集を、
敏子さんが、うれしそうにニコニコ笑って見ているのを、
僕は、作品にもまさるくらい素晴らしいものを見たような気がしました。
岡本太郎さんは、素晴らしい発想を機関銃のようにしゃべり、
次から次へと忘れていくので、それを書き取るのが、
敏子さんの楽しみでもあったそうです。
敏子さんは、たけしさんの「誰でもピカソ」の審査員で、
ニコニコ笑いながら、「1点」とか「10点」とかをつける天才です。
今度、僕が撮った青山の写真集に岡本太郎記念館も入れているので、
「できあがったら、ぜひお送りします」と言った時、敏子さんは、
ニコニコ笑って、こう言って下さいました。
「送らないで、もっていらっしゃい」
天才に刺激を与えつづけた女神だったのですね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
また、岡本太郎記念館に行く楽しみが増えたので、
一緒に行こう。