歌舞伎は、突然、説明が省略される演劇だから、面白い。
(イヤホンガイド)
親愛なる君に

歌舞伎を観に行く時は、イヤホンガイドを借りよう。
「そんな素人じゃない」と、いいかっこしないことです。
楽しむためには、なんでも利用することです。
僕は、学生時代から20年以上、イヤホンガイドのお世話になっています。
小泉総理も、イヤホンガイドの会員だそうです。
会員証があると、はんこが残って、いつ観たかという記録にもなります。
ガイドの声で、生のお芝居が楽しめないということは、ありません。
見逃していることを、「ああ、これはそういう意味なんだ」と、
ひとつでも知ることができれば、お芝居ががらっと変わります。
歌舞伎は特に、説明過剰なところがあるかと思えば、
一気に説明を省くところがあるお芝居なのです。
この省いた説明を見逃すと、
推理小説でいうと、犯人を見誤るということになるのです。
今年の平成中村座では、仮設劇場なのに、イヤホンガイドが採用されました。
これは素晴らしい。
しかも、休憩中も、勘九郎さんのトークが聞けるので、
おちおちヒレカツサンドを食べていられないくらい、楽しい。
野球場など、ほかのエンターテインメントでも、ぜひ採用すればいいのにね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
イヤホンガイドで聞き漏らしたことは、僕が解説します。
個人的意見も入ってるけどね。