ロミオにもし、奥さんがいたら。
(『四谷怪談』)
親愛なる君に

『四谷怪談』は、忠臣蔵の裏話なんだけど、
「おいわ」というのは「おいえ」のシャレなんだろうな。
「伊右衛門(いえもん)」も「家(いえ)」のシャレだし、
重要人物の「宅悦(たくえつ)」も「浅野内匠頭(たくみのかみ)」のしゃれだね。
実は、四谷怪談は『ロミオとジュリエット』でもある。
浅野家の伊右衛門に吉良家のお梅が恋をする。
シェークスピア版と違うところは、
ロミオに奥さんがいて、邪魔になって、殺しちゃうというところだ。
そのへんが、シェークスピア版よりも、鶴屋南北版は、大人の話だ。
でも、蜷川さんは
「もう、青春が終わってるのに、終わってないと思ってる男達の物語」と言う。
そうなんだよね。
映画だと、名優がやってしまうから、つい、
おじさんおばさんの話だと思い込んでしまうんだけど、
本当は、若者たちや、若者ぎりぎりの人たちの話なんだよね。
『青春の蹉跌』なんだものね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
『青春の蹉跌』を一緒にビデオで観よう。