いい男は、ティッシュを鼻につめていても、かっこいい。
(『忠臣蔵1/47』)
親愛なる君に

『忠臣蔵』も、名優でなければ演じられないので、
おじさんおばさんの話だと思われていた。
でも、あらゆる素晴らしいドラマは、
青春物語なのだ。
青春物語だと考えると、若者達で演じても成り立つのだ。
『仁義なき戦い』だって、みんな30代だったんだからね。
『忠臣蔵1/47』は、ヤング忠臣蔵も、観れるということを証明した。
木村拓哉さんの力を抜いた演技は、
実は時代劇でも成立するということで、
キムタクが、現代劇でも芝居をしていないのではなく、
計算された演技として、芝居をしていないように見える芝居をしていたことが、
時代劇をすることで、わかった。
ほかのドラマだけど、ナチュラルな演技と言われながら、
時代劇をやって、演技でも何でもなかったことがばれてしまう役者さんも多い。
いちばんカッコよかったのは、
キムタクが最後に切腹をする場面。
切腹の前に、キムタクは懐紙をもらって、はなをかむのだ。
すべては、この、はなかみのためにあったといっていいほど、
いいシーンだった。
キムタクは、はなをかんでも、カッコいい。
いい男は、鼻血を出して、ティッシュをつめていても、かっこいい。

                        中谷彰宏拝
P.S.
このシーンは、保存版だね。