いい演奏の後は、拍手までに、一瞬の間がある。
(川井郁子さん)
親愛なる君に

ヴァイオリニスト・川井郁子さんのコンサートに行ってきました。
3メートルくらいの近さだったので、
聴いたというより、観たという感じでした。
音色もさることながら、
弾いている時の川井さんの表情が印象的でした。
弾き始める前の集中する表情。
弾いている最中の表情。
そして、弾き終わって、音楽のエクスタシーの世界から、
現実の世界に引き戻される表情。
いい演奏の拍手は、終わってから、一拍の無音があっていい。
拍手が、あまりにも早いのは、
セックスの後に、すぐ、「良かったわ」と言われるようなもので、
ちょっとさびしい。
すぐ、「良かったわ」と言われるより、
死んじゃったんじゃないかなというくらいの間が、あるのがいい。
この日も、拍手までの間を、味わった。

                        中谷彰宏拝
P.S.
無音の時の、君の表情も好きだよ。