「忠臣蔵」は、仇討ち物語ではなく、その裏の47の物語だ。
(『オペラ忠臣蔵』)
親愛なる君に

島田雅彦さん台本、三枝成彰さん作曲の『オペラ忠臣蔵』を観てきました。
見事なラブストーリーでした。
これだけ、いろいろな解釈ができる「忠臣蔵」って、
もう日本人には、神話や童話くらいDNAに組み込まれている世界なんでしょうね。
今回もまた、面白い解釈でした。
仇討ちのお話なんだけど、誰を討ったのかということなのです。
「赤穂浪士vs.吉良」ではないのです。
「個人vs.組織」であり、「自由vs.道徳」なのです。
敵を油断させるために、町人に化けているうちに、
町人の人間的な生き方を知ってしまう悲劇だと考えれば、
「町人vs.武士」だし、「仮の自分vs.本当の自分」です。
仇討ちという表の物語の裏側に、47通りの裏ドラマが存在するのです。
「忠臣蔵」とは、仇討ちが面白いのではなく、
その47通りの裏ドラマが面白いのですね。
子供の頃は、よくわからなかった「忠臣蔵」が、面白く感じられてきたのは、
裏ドラマを味わえるようになったからですね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
『忠臣蔵』を、君が面白いと言ったのが、うれしかった。