オペラ歌手は、恐るべき演技力を持っている。
(小林一男先生)
親愛なる君に

三枝成彰さんの『オペラ忠臣蔵』を観て、
オペラに対する考え方が、変わりました。
オペラは、歌で感情を表現するものだというのは、誤解だと気づきました。
オペラ歌手は、お芝居をしてはいけないというふうに思い込んでいました。
極論を言えば、歌がなくても、お芝居だけでも、感情が伝わりました。
もっと言うと、外国語で、言葉の意味がわからなくても、
感情が伝わるということです。
だいたいわかるという、おおざっぱなことではなく、
細かい感情の機微まで、お芝居で伝わるのでした。
堅物なのに恋におぼれて行く浪士を演じた小林一男先生の
細やかな演技力に、改めて感服させられました。
現代劇と違って、特に時代劇は、芝居が難しいのです。
小林先生は、歌唱力も指揮力も指導力も、知っていましたが、
恋愛俳優の底力を思い知らされました。
変な話、歌わせておくには、もったいないほどです。
芝居ができて、歌も本格的なのですから、オペラ歌手って、凄いんですね。
というより、やっぱり小林先生が凄いんですね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
まったくのビギナーから、オペラマニアになっていく君も、好きです。