いちばん過激なのは、小劇場より、歌舞伎。
(『喜劇 地獄めぐり』)
親愛なる君に

ラサール石井さん演出の『喜劇 地獄めぐり』を観てきました。
またしても、中村勘九郎さんは、
新橋演舞場で「やっていいこと」の幅を広げました。
ラサールさんに演出を依頼する勘九郎さんのチャレンジ精神にも、感服です。
その期待を裏切らず、新橋演舞場で、藤山直美さんや渡辺えり子さんに
宝塚をさせるラサールさんのマイペースさも、凄い。
別府と由布院のお話だし、油屋熊八さんの話だし、旅館の話だし、
それでいて、豪華メンバーだし、
芸能界でも、チケットを取るのが大変なお芝居になるのは、当たり前。
それだけの凄いプレッシャーの中で、面白いお芝居は、生まれるのです。
芝居小屋には、奈落(床下)という地獄があり、
いちばん安い最上階の天井桟敷(フランス語で天国席)もあります。
大アドリブ大会あり、歌舞伎座での「何もない空間」演出あり、
今、最も過激なのは、
小劇場でも、前衛劇場でもなく、歌舞伎なのだということを、
思い知らされました。

                        中谷彰宏拝
P.S.
舞台の合間に、芸能人ボウリング部の練習も欠かさないラサールさん、
今度、ボウリング場めぐりをしましょう。