チョイ役でも、死ぬほど考えて行くやつが、大物になる。
(北村一輝さん)
親愛なる君に

『岸和田少年愚連隊/血煙純情篇』では、
三池崇史監督も凄いと思ったけど、
俳優・北村一輝さんも凄かった。
シリーズのレギュラーメンバー「貞君」の中で、最も魅力的な貞君だった。
主人公リーチに、いちゃもんをつけていくところは、
何度ビデオをプレイバックしても聞き取れないくらいの
流暢で過激な関西弁だった。
『史上最悪の兄弟』で、ご一緒させていただいて、
カラオケも一緒に行った。
感覚は演技と思われがちだけど、
北村さんほどアイデアを考えてくる役者はいない。
通常は、濃い二枚目は、あまり演技に凝らないし、切れる野獣性はない。
北村さんは、それを持ち合わせている。
切れる役だけじゃなく、
『水曜日の情事』で、かっこいいやつもやりながら、
『完全なる飼育』で、隣のセックスを盗み聞きする淋しい男も演じ、
大河ドラマもやって、『徹子の部屋』でもまじめにしゃべる。
チョイ役時代から、演技プランを死ぬほど考えていったそうだ。
1本1本が、違う役作りに徹していて、いつも驚かされる。
忙しいはずなのに、試写会にも勉強に来ている。
今、僕がいちばん大好きな男優だ。

                        中谷彰宏拝
P.S.
早口の関西弁のところを、わかるまでプレイバックしてみよう。