体は直せないけど、意識は変えることができる。
(『プロジェクトX』)
親愛なる君に

『プロジェクトX』で、集団検診を始めたお医者さんたちの物語を見ました。
ついこの間までは、地方では、病気になるということは、
「お金がかかる」ということであり、
それ以上に、「恥ずかしいこと」でもあったのです。
せっかく検診をするというのに、
「うちのばあさんは、具合が悪いので、検診を休ませます」
ということが、笑い話ではなく、起こっていたのです。
検診に行くと、「トイレは何回?」とか「食事は何を食べています?」という
プライベートなことまで聞かれるから嫌だ、という発想だったのです。
その結果、病院に連れて来られる時には、
もはや手遅れの患者さんばかりでした。
病院の仕事は、治療や予防ではなく、死亡診断書を書くことだったのです。
佐久村のお医者さんたちは、なんとか検診に来てもらうために、
お芝居を見せて、関心を持ってもらっていました。
それを見ながら、僕は考えました。
僕は、専門のお医者さんではないし、技術もない。
でも、「お医者さんとこうつきあおうね」という意識を変えることはできる。
僕の仕事は、手作りの芝居を作ることなんだなと、実感しました。
そうすることで、手遅れにならずに、
一人でも命を救うことができればいいなと、感じました。

                        中谷彰宏拝
P.S.
君がいるおかげで、僕の意識もずいぶん変えてもらってる。
ありがとう。