差が小さく見えるものほど、差が大きい。
(スケルトン)
親愛なる君に

アマチュアとプロの差が、
わかりやすいスポーツとわかりにくいスポーツがあります。
でも、アマチュアとプロの差がないスポーツは、ありません。
ソルトレイク・オリンピックでついつい見てしまったのは、
「スケルトン」競技でした。
これまで最も1位と2位の差が小さかったリュージュより、
スケルトンは、さらに差が小さい。
仰向けのリュージュより、うつ伏せのスケルトンは、
ほとんど自然落下で、コース取りなどの操作が難しいのです。
アマチュアとトッププロの差は、3秒。
それを聞くと、「なんだ」と思うかもしれません。
でも、そういうものこそ、アマとプロの差は、大きいのです。
そのたった3秒を縮めるために、一生を懸けるのです。
作家の仕事も、日本語は、誰でも書けるから、
差の見えにくい仕事です。
コピーライター、絵本作家、俳人、詩人などは、
特に、一見、3秒のような差です。
「こんなの、子供でも書けるじゃない」と思われます。
でも、この3秒の大きさを味わえる人が、感性の豊かな人なんですね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
愛情の注ぎ方も、一見、誰でもできるような簡単なことを、
大切にしたいです。