テクニックより、精神の強い者が最後には勝つ。
(ノルディック)
親愛なる君に

スポーツは、映画よりも、ドラマチックです。
僕は、マラソンが大好きです。
つまらない映画の2時間は退屈だけど、
マラソンの2時間は、ちっとも退屈しません。
冬のマラソンといえば、ノルディック競技です。
今回、女子のノルディックで、ストックが折れた選手がいました。
スポーツには、アクシデントがつきものです。
ノルディックでは、ストックワークが大事なので、
ストックが折れるということは、
折れたバットで打席に入るに匹敵するくらい致命的なことです。
しかも、最もストックの必要な上り坂での事故でした。
この時、順位は、13位。
普通なら、「なんて運が悪いんだろう」と、リタイヤしたくなるところです。
ルールとしては、折れたストックは、交換することができます。
彼女は、リタイヤせず、新しいストックを受け取り、レースを続けました。
アクシデントは、これだけではありませんでした。
なんと、新しく受け取ったストックが、長さが違ったのです。
さすがに、こうなると、やめたくなります。
ところが、彼女は諦めませんでした。
再び、ストックを交換して、レースを続けました。
もう、ここまできたら、完走するだけで、拍手ものです。
ところが、彼女は、ここからグングン前にいた選手を抜き始めたのです。
そして、とうとう金メダルを取りました。
2回のアクシデントに、腐らなかった彼女に、
スポーツが、精神の戦いであることを、痛感させられました。

                        中谷彰宏拝
P.S.
折れたストックが、金メダルと同じくらい宝物だね。
そんな宝物が、いっぱいできるといいね。