「転倒」は「世界新記録」と同じくらい凄い。
(スケート)
親愛なる君に

ソルトレイク・オリンピックのスケートでのキーワードは、
「転倒」でした。
いつにもまして、転倒が多かった。
スピードスケートでも、アイスダンスでも、
転倒が多かった。
カナダのウォザースプーン選手のような世界記録保持選手が、
たった5歩で転倒した時は、驚いた。
これが、オリンピックだった。
「一流選手なのに、素人のように転ぶなんて」と、見るのは
うわべしか見えていない。
「アイスダンスでは、転倒してる選手ほど、レベルは高いですね」
と、ダンスの花岡律子先生が教えてくれた。
より高度な技にチャレンジするから、転倒するのだ。
転倒しないように守りに入ったら、もうそこで終わりなのだ。
その証拠に、「転倒」と同じくらい「世界新記録」が続出した。
新記録が出やすいリンクを作ったんじゃないかというのは、卑しい発想だ。
「転倒」しながら「世界新記録」にトライしているのだ。
転倒したら、ため息よりも、拍手。
その拍手は、同情の拍手ではない。
チャレンジした勇気への拍手なのです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
君の「転倒」は「世界新記録」と同じくらい凄い。拍手。