本を読みこむ人ほど、まだ斜め読みでしかないと気づく。
(『面接の達人塾』)
親愛なる君に

毎年、この時期になると、
『面接の達人塾』で、模擬面接をやっています。
遅れてきた人は、立見になります。
「遅れてきても席があるのは、大学だけだ」という
大人の社会のルールを学んでもらうためです。
2時間以上の模擬面接・模擬集団討論・質疑応答のあと、
200名以上の参加者のアンケートを、かなり丁寧に読みます。
アンケートを読むことで、
その人がどれだけのものを持ち帰ったかが、よくわかります。
同じ話を聞いても、一人一人の持ち帰る量は、
ケタはずれに違います。
「もっと長時間やってほしかった」
「もっと回数を増やしてほしい」
「もっと早くやってほしかった」
と言う人は、ほとんど持ち帰ることができなかった人です。
こういう人は、本で読むのが面倒だから、
話を聞こうとしているだけなのです。
この人が大人になると、
誰かの講演を聞く時でも、「本で読むのが面倒だから聞く」という人になります。
「本では聞けなかった話が聞けた」
「本を、読んでいるつもりで、斜め読みしていることに気づいた」
と言う人が、多くのものを持ち帰った人です。
本を読みこなしている人ほど、
「ああ、まだ自分は斜め読みでしかない」
と感じるのです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
同じ本を何度も読み返す君が、好きだよ。