一生かけて学ぶべきことは、もうすでに学んでいる。
(小沢征爾さん)
親愛なる君に

小沢征爾さんが、世界中から集められた
一流の若手演奏家たちのオーケストラに指導するところを見ました。
ハンガリーの協奏曲を弾くところで、
「この中に、ハンガリー語ができる人はいますか?」
ある一人の女の子が手を挙げました。
「じゃあ、僕が赤ん坊だと思って、話しかけてみて」
彼女は、ハンガリー語で話しかけました。
「ね、みんな、いま聞いたでしょ。ハンガリー語は、
意味はわかんなかったけど、言葉の頭にアクセントがあるよね。
だから、ハンガリーの曲を弾く時も、
頭にアクセントをつけて弾いてみよう」
そして、ハンガリー語が話せる彼女には、こう言いました。
「ありがとう。あとで、またハンガリー語を教えてね」
なるほど、天才マエストロの指揮とは、
これだなと、感動しました。
一流の若手演奏家たちは、言った。
「一生かけて学ぶことを、1時間に凝縮して教わったような気がします」
あとは、練習をしながら、その言葉の意味を確認していくのです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
一生かけて学ぶべきことは、君はもう学んでいます。
あとは、練習しながら、その意味を確認するだけなのです。