覚えてもらいたい人には、トイレで待ち伏せる。
(三國清三さん)
親愛なる君に

オテル・ドゥ・ミクニの三國清三さんは、
帝国ホテルのレストラン部でアルバイトをしていた頃、
伝説のシェフ、村上総料理長になんとか覚えてもらえる方法はないかと、
考えたそうです。
当時でも帝国ホテルの厨房で働くスタッフは、400人以上。
教えてもらえるどころか、覚えてもらえるには、
普通のことをしていたのでは、
バイトの契約期間が終わってしまいます。
村上総料理長は、帝国ホテルの中のレストランを
すべてチェックして回っていました。
そして、とうとう三國さんは発見しました。
村上総料理長が、すべてのレストランのチェックをするコースを把握して、
最後に必ず同じトイレに入ることを知ったのです。
村上総料理長は、いつもたまたまトイレで会って、挨拶してくる若者を
覚えずにはいられませんでした。
20歳の三國さんが、待ち伏せをしていたのでした。
レストラン王になる人は、
やっぱり違いますね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
今から告白すると、君と偶然会ったのも、
待ち伏せでした。