スピーチは、絶妙な拍手と笑いが盛り上げる。
(アカデミー賞授賞式)
親愛なる君に

アメリカのアカデミー賞の授賞式は、
どうしてあんなにカッコいいんだろう。
演出だけでなく、スピーチのお手本がそろっている。
エンターテイナーが、エンターテイナーに向けて見せるわけだから、
どんな映画よりも、演出プランを練ってくるからだろうか。
今年のスピーチで、いちばん笑ったのは、
NYの応援でスピーチをしたウッディ・アレンだった。
「ノミネートされてないのに、アカデミー協会から電話がかかってきたので、
『前に送ったオスカーを返してくれ』と言われるのかとあせった。
『そうじゃない』と言うので、
じゃあ、『ノミネートされなかったお詫びか』と言うと、
『そうでもない』って言うんだ。
『ニューヨークの応援なら、
マーチン・スコセッシもスパイク・リーもマイク・ニコルズも、
カッコいい監督は15人はいるのに』って言ったら、
『みんな都合が悪いので、かけました』って言うんだ」
――大爆笑。
カッコよかったのは、トム・クルーズだった。
「『去年の9月にあんなことがあったのに、
映画なんて作ってていいのか?
アカデミー賞なんてお祭りをやっていていいのか?』
と、聞かれます。
僕は、こう答えます。
こういう時だからこそ、『イエスだ』と」
――大拍手。
スピーチもいいけど、
観客の笑いや拍手の間も最高なんだよね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
いつか一緒にアカデミー賞の授賞式に行こう。
もちろん、ノミネートされて。