名画座そのものが、映画の中の世界だった。
(早稲田松竹)
親愛なる君に

名画座「早稲田松竹」が、閉館。
……感無量。
大学時代、歩いて3分のところに住んでいた。
学生料金、400円で2本立て。
大学生協でチケットを買うと、350円だった。
床の真中が、へこんでいるので、前のほうの席は、
スクリーンに向かって、ジェットコースターの、のぼりのようになっている
不思議な映画館だった。
バブルの時も、まわりの建物がどんどん地上げや等価交換で
高層化していったのに、
ここだけが、ポコンとへこんでいた。
映画館は、たいてい新作を土曜日からかけ始めるけど、
「早稲田松竹」と、すでになくなった「佳作座」は、
火曜日かわりだった。
このタイムラグを利用して、
大学時代の僕は、毎月100本の映画を観ていた。
サラリーマンになってからも、いつも映画館の前のスチール写真を
眺めながら、会社に通っていた。
スチール写真を貼ってある映画館も、
ほとんどなくなった。
僕らの子供の頃は、駄菓子屋で、
怪獣映画のスチール写真を売っていた。
「おしい」と言うより、
「よく、今までがんばった。ありがとう」と言うべきですね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
今度、前まで行ってみよう。