お金を取る限りは、学芸会意識ではいけない。
(奥田瑛二さん)
親愛なる君に

六本木男声合唱団のディナーショウの演出は、
奥田瑛二さんが担当されています。
財界、政界、文化界の第一人者ばかりの団は、
別の言い方をすれば、わがままぞろいの合唱団です。
それを、演出して仕切っていくのは、大変です。
奥田さんは、ある時はふざけながら、
そしてある時は、切れながら演出されました。
あとから、奥田さんは、僕にこんな話をしてくれました。
「これって、32000円のお金をお客さんからいただいて、
見せることなんだよね。
偉い人は、それを忘れちゃうんだよね。
1円でもお金を取って見ていただくためには、
学芸会気分では、失礼なんだよね」
楽しんでやってると、
ついつい学芸会気分になってることを忘れちゃうんですね。
奥田さん監督の映画『少女』が、パリ映画祭でグランプリを受賞しました。
奥田さんの演出の根本精神が、ここにあるんですね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
僕が本を書く時でも、忘れないようにします。