明るくて、マニアックなお芝居もある。
(『ダブリンの鐘つきカビ人間』)
親愛なる君に

『ダブリンの鐘つきカビ人間』をパルコ劇場で観てきました。
これは、ツボにはまりました。
ひと言で言うと、4番バッターを、9人並べたようなお芝居です。
濃いです。
大倉孝二さん、池田成志さん、橋本さとしさん、長塚圭史さん、
山内圭哉さん……。
あまりにもそろえすぎて、ピッチャーを入れるのを忘れて、
ゴジラ松井が、ピッチャーをしているようなぜいたくさです。
自分で脚本が書けて、自分で演出ができる人たちが、
そろって芝居をするのですから、さあ大変。
タイトルからして、おどろおどろしいのかなと思っていると、
脚本も書いている後藤ひろひとさんが出てきて、
「どーも、どーも、王です。いやあ、まいっちゃった」というあたりから、
ぐいぐい変な世界に、引きずり込まれます。
僕の大好きな中川いさみさんの4コマ漫画を生身の人間でしたら、
こうなってしまうという面白さです。
それでいて、ラブストーリーなのです。
「反対のことを言う病」にかかった水野真紀さんが、
好きな相手に、うっとりしながら「超ー、ムカツク」と言うのが、
最高のラブストーリーでした。
アイルランドが舞台なのに、水野真紀さんの役名が、「おさえちゃん」
というのが、いいよね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
演出家のG2さんの一昨年のパルコ劇場作品『人間風車』を、
観そこねたことを、後悔しました。
だって『人間風車』とか『カビ人間』って、マニアックなお芝居そうで、
敬遠しちゃうものね。
ヤバイ。
でも、観てよかった。
『人間風車』、ビデオで観よう。