東京ドームは野球を観に行き、甲子園球場は笑いに行く。
親愛なる君に

ファンのヤジも、野球場の楽しみのひとつだ。
圧倒的に、関西の球場のヤジのレベルが高い。
僕が行ってたナンバ球場の「南海・近鉄戦」では、
時には、試合よりもヤジのほうが、面白かった。
1塁側と3塁側で、ヤジ合戦になるのだ。
これこそが、たまにある凡戦から元を取って楽しむ
関西人のエンターテインメント根性なのだ。
『英語で阪神タイガースを応援できまっか?』
(シャノン・ヒギンス著/朝日新聞社)という本が、最高に面白かった。
英語よりも、関西弁の勉強になる。

〈明日から吉本いけや!〉
どんなプレーをしたか、想像できる。

〈弱いものイジメしてオモロイか!〉
弱いものって、タイガースのことなのだ。
これは、まず他の球団のファンからは出ない発想だ。

〈すいませんですむなら、警察はいらんのや!〉
これは、もはや『ナニワ金融道』の世界だ。

〈あとで通用門のとこに、顔出さんかい!〉
こういうのは、たいてい外野スタンドのファンだ。

〈ワシのチーズは、どこへ行ったんや!〉
ベストセラーのタイトルも、関西へ行くと変わる。

〈そこ笑わせるとこ、ちゃうでえ…〉
甲子園球場ほど、笑いに満ちている球場はない。
お客さんは、野球を観に来るといいうより、
ツッコミながら、笑いに来ているのだ。

                        中谷彰宏拝
P.S.
一緒に、甲子園球場に、笑いに行こう。