負けた試合のほうが、いい言葉、いい表情がある。
(サッカーワールドカップ)
親愛なる君に

サッカーワールドカップは、
面白いものを、たくさん思い出させてくれた。
スポーツ新聞も、感動があった。
自分が記事を書くとしたら、
トルコ戦に破れた時、見出しはなんと書くだろうか。
トップに載せる写真は、どんな写真にするだろうか。
見出しの言葉は、「残念」「惜敗」という言葉にしてほしくなかった。
「ありがとう」という言葉が多かった。
写真も、いい写真が多かった。
2番目に良かったのが、「日刊スポーツ」の
中田選手が、柳沢選手の肩を抱いて歩いていく後ろ姿。
1番感動したのは、「サンスポ」。
中田選手が、空を見上げる表情のアップ。
そこには、絶望も後悔も涙も、なかった。
明らかにその目は、4年後のドイツを見ていた。
「さあ、ドイツワールドカップが、始まった」という表情だった。
「ここから始まった。今の風景を目に焼きつけておこう」
という目だった。
号泣する選手の多い中で、
これが、中田選手だった。
勝った試合よりも、負けた試合のほうが、
いい言葉があり、いい表情がある。

                        中谷彰宏拝
P.S.
君も、試合で負けた時のほうが、いい表情をしてるね。