サッカーとサッカのパスには、すべて意味がある。
(中田英寿選手)
親愛なる君に

サッカーワールドカップを見ながら、
サッカーとサッカという僕の仕事の共通点を、見つけました。
サッカである僕の仕事は、読んでくれる人に、
パスを送ることです。
シュートをするのは、決してサッカではないのです。
読む人自身が、シュートをするのです。
キラーパスの天才・中田英寿選手は、
「パスに意味を持たす」と言います。
パスは、ただボールを回すことではないのです。
どんなパスにも、文脈もあれば、意味もあるのです。
意味を理解しながら、自分の意味を付け加えて、
相手に送るのが、パスなのです。
中田選手のパスに、ただなんとなく仲間がいるところに
ボールを送るパスは、ひとつもないのです。
本を読むということは、パスに込められた意味を受け取って、
時にはパスをし、
時にはシュートをするというスポーツなのです。
読書は、心のスポーツなのです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
君に、パスを送ります。