改行は、パスだ。簡単そうなものほど、技がいる。
(中田英寿選手)
親愛なる君に

「中谷さんの本は、どうして改行が多いのですか?」
と、よく聞かれます。
僕は、「改行は、パスだ」と考えています。
読んでいる人に、ボールを速く渡すのです。
改行のない文章は、なかなかパスしないサッカー選手のようなものです。
中田英寿選手は、
「シンプルであること」を目指しています。
これは、僕自身も、意識していることです。
短く、親切で、わかりやすい、ということです。
独り善がりにならないで、ボールを持ちすぎないことです。
二流の選手ほど、自分のボールさばきのうまさを誇示するために、
いつまでもボールを持ち続けます。
簡単な真理を、わざと難しく書く人は、そういうタイプです。
〈ダイレクトやツータッチでのプレイこそ、高い技術が必要になる。〉
と、中田選手は、言います。
簡単そうに見える技ほど、実力がいるのです。
簡単そうに見えないうちは、まだまだだということなのです。
文章を「簡単に、短く書く」というのは、
「高度なシンプル」なのです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
愛情表現も、シンプルに、伝えます。