書いた言葉よりも、消した言葉が伝わる。
(「ケータイ・PHSマナー標語」)
親愛なる君に

手元に届くハガキは、
2枚目に書かれたハガキです。
今年も、「ケータイ・PHSマナー標語」の審査会に行ってきました。
応募されたたくさんの標語を見ていると、血がうずいて、
毎日毎日、CMプランナーとして、
コピーを書いていた20代に戻ることができます。
野中ともよさんやジョージ・フィールズさんと
お話をするのも、楽しい会です。
たった一行のコピーにも、そこにいたるプロセスが
ひしひしと感じられるのです。
ハガキには、キレイに標語と、住所氏名が書かれています。
ということは、
一度書いて失敗して、
もう一度書き直したということなのです。
標語としては、長すぎるね、と言われるものでも、
もとはもっと長かったものを、切って、短くして、
やっとここまでになっているのです。
僕が感動するのは、書いた人が、残した言葉よりも、
消した言葉なのです。
言葉は、消すことで、いちばん伝わるのです。
失敗になった1枚目のハガキは、
投函されなかった。
でもそれは、書いた人の宝物なのです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
消した言葉、伝わりました。