短歌は、そもそもエッチなものだ。
(『恋する肉体』)
親愛なる君に

川上史津子さんの短歌集『恋する肉体(karada)』(飛鳥新社)が、面白かった。
エッチな短歌です。
口に出すと、恥ずかしくて出せないような言葉も、
5・7・5・7・7に乗せると、言えてしまうのです。
短歌とは、そもそもそういうものなのですね。
エッチな短歌ではなく、短歌そのものが、エッチなものなのです。
学校の古典の授業なんかでやってることが、凄いことなのです。

〈聴きたいの我慢出来ずに洩らす声もっといっぱいなめてあげるね〉
話者が、女性というところもいいね。

〈青空に白い半月キスしても瞑らない眼で凝っと視ている〉
女性は、キスの時、目を閉じているようで、あいているのですね。

〈”まだスルの?”あなたの無言のツッコミは気付かない振り夜はこれから〉
女性は、気付いていないのではなくて、気付かない振りなのですね。

〈ヤリたいと言えばいいのに「好きなんだ」役に立たない免罪符だわよ〉
「やりたい」という言葉は「好き」と同じくらい大切な言葉なんだね。

〈抱きしめて這わせて噛んで抉じあけて掴んで裂いて突いて殺して〉
このまま、メロディが生まれそうな歌ですね。
短歌は、ふだん使わない漢字を使います。
読めない字は、辞書をひかずに、想像してください。
そうほうが、エッチだったりしますね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
短歌部の僕としては、エッチ短歌を書きたくなりました。