すれ違う人との短いやり取りに、ドラマがある。
(『ギブリーズ エピソード2』)
親愛なる君に

スタジオジブリの『猫の恩返し』と『ギブリーズ エピソード2』を
観てきました。
『猫の恩返し』のバロンの紳士ぶりもカッコいいけど、
僕は実は、スタジオジブリの『となりの山田くん』のような
ほのぼの路線も大好きなのです。
少年時代の野中君が、自転車で、
憧れの愛ちゃんの前を通り過ぎて行く
ワンカットだけで、もうドキドキしてしまいます。
CGは、このカットのためにあるのだと、
『タイタニック』よりも、感動してしまいました。
電車の中で、眠りこけるかわいい子にもたれられて、
終着駅まで降りられないで、タクシーで大金払って帰ってくる話は、
見事な恋愛ドラマです。
激辛カレーで、店主と戦う美人のゆかりさんの話は、
ヒッチコック劇場のような緊張感がありました。
憧れの愛ちゃんと自分の絵が、たまたま並んで貼られているのを
クラスメートにはやし立てられて、恥ずかしがる少年。
もみ合ううちに、絵が破れてしまって、
それを愛ちゃんと一緒に、貼りなおす。
見事な、ラブシーンですね。
圧巻は、米ちゃんが、会社から帰るだけのエピソードです。
すれ違ういろんな人との短いやり取りに、
たくさんのドラマを感じます。
僕が、この短編の中でやりたかった役は、
ゴミのことで、ぶつぶつ言ってたおじさんです。
ゴミのことでぼやきながら、
「お疲れ」「雨、まだ降ってるの?」
と、優しく声をかけるのです。
登場人物は、スタジオジブリにモデルがいるのが、わかります。
モデルを知らないのに、似ていると感じるのです。
スタジオジブリの作品すべてに出てくる登場人物は、
ジブリにモデルがいるということがわかりました。

                        中谷彰宏拝
P.S.
僕の本に出てくる君は、君がモデルだよ。