いうこと、なかなかきけへんやつが、カッコいい。
(『アテルイ』)
親愛なる君に

劇団☆新感線の『アテルイ』を観てきました。
いのうえひでのり さんのお話って、
本当に、「いうこと、なかなかきけへんやつ」のお話の痛快さなんですね。
それが、ギリシャ悲劇では「神」になって、
シェークスピアでは「運命」になって、
いのうえ歌舞伎では「鬼」になって、
吉本新喜劇では「アホ」になるんですね。
今の時代は、「いうこと、なかなかきけへんやつ」って、貴重なんですね。
いのうえさんのお話の登場人物は、
「いうこと、なかなかきけへんやつ」ばっかりなのです。
今回は、染五郎さんと堤真一さんのツートップで、
2本分以上の見ごたえがありました。
左右に花道のある新橋演舞場が、
2人のスターを呼び寄せたのでしょう。
上下の花道に分かれて、ツートップが向かい合う場面は、圧巻でした。
上手の花道を逃げていった役者が、
下手の花道から現れると、首をいったんぐるりとまわされたような
ダイナミックなカメラワークを感じました。
舞台は、いろんな席から見るのが好きです。
今回は、2階正面の最前列でした。
そこから見ると、いのうえ歌舞伎のとまった絵の構図が、
正対で見れて、味わえました。
2階から見ると、花道の木の板が、
役者の走る足で、擦り切れているのがわかって、
半端じゃないエネルギーを感じました。
花道のそばに座っていると、風が起こるくらいです。
ミッドフィルダーの橋本じゅんさんの
顔にかかる長髪をイライラはらいのけるギャグが、キラーパスでした。

                        中谷彰宏拝
P.S.
いつものように、入り口に、いのうえさんがいたので、
富田靖子さんからの伝言を届けました。
テレフォンショッキングのタモリさんみたいでした。
パイパーの後藤ひろひとさんからいただいたメールの話も、したかったのですが、
長くなりそうなので、今度にしました。