キャッチボールで、うなずいてくれると、調子が出る。
(ホークス北野選手・若菜元バッテリーコーチ)
親愛なる君に

今年も、福岡ドームに、始球式に行ってきました。
昨年は、連日、150球も投げ込んで、肩を壊すほどでした。
今年は、自分でも驚くくらい、かなりリラックスして臨みました。
練習は、2日前に、ボウリング場の上にあるピッチングマシンで、
60球ずつ投げただけでした。
試合前に、肩ならしのために、キャッチボールをするのですが、
その時、すでにいい感じのボールが投げられていました。
キャッチボールは、ボールボーイ君がやってくれるのですが、
この日、試合に出る北野選手が、キャッチボールの相手役を
買って出てくれました。
北野選手が、僕のボールがいいところに行くと、
「うん、いい感じ」と、うなずいてくれたのが、感激しました。
「ありがとうございました」と、お礼を言うと、
「がんばってください。本、読んでます」と言ってくれました。
肩ならしのあと、若菜元バッテリーコーチが、声をかけてくださいました。
「野球は、やってなかったの?」
「野球、やってたの?」ではなく、
「なかったの?」というところが、さすが名捕手は、見抜きました。
「はい、3歳から親にキャッチボールをやらされて、
オマエは野球をするな、と言われました」
と、言いました。
「マウンドから見ると、キャッチャーが低く見えるから、
つい、投げ下ろして、ワンバウンドしやすいから、
真っ直ぐ投げればいいよ」
と、元バッテリーコーチは、アドバイスしてくれました。
電光掲示板には、
「南海ホークス子供の会出身」と紹介されました。
「中谷さん、本、読んでますよ」と、声をかけてくれたファンの方もいました。
阪神の先頭バッターは、右バッター。
前回、あっちこっちにお辞儀しすぎたので、
今年は控えめにして、投げました。
「おおお」
という声が、スタッフの間から聞こえたような気がしました。
僕の投げたボールは、
見事、正真正銘のストライク。
内角に入ったのは、ど真ん中より右側から攻めるクセが、
ボウリングでついているせいでした。
毎日、ボウリングで緊張している成果が出ました。
これもすべて、ファンの方の励ましと、
北野選手のうなずきと、若菜元コーチのアドバイスのおかげでした。
すっかり、お立ち台のコメントになってしまいました。

                        中谷彰宏拝
P.S.
翌日のスポーツ新聞には、
「ホークスファンで有名な作家の中谷彰宏さんが、
始球式の大役を果たされました」と紹介されていました。