2軍戦は、1軍戦よりも、熱い。
(福岡ドーム)
親愛なる君に

「ダイエー・阪神戦の始球式をするんです」と言うと、
野球を知っている人は、「えっ?」という顔をしました。
ウェスタンリーグなのです。
2軍戦だからといって、あなどれません。
この日、パリーグ1軍の首位攻防の西武・近鉄戦が
大阪ドームで、観客19000人。
セリーグの巨人・横浜戦が、横浜スタジアムで、27000人。
福岡ドームのダイエー・阪神戦は、47000人。
客席だけでなく、通路や売店にも、観客があふれて、
いつもは、禁止されている通路での立見も、特別に許可されたほどでした。
ふつう、2軍の試合を、1軍の球場ですることはありません。
観客が、2000人くらいしか、入らないからです。
昨年のウェスタンリーグの覇者、阪神の選手も、緊張。
観客も、緊張。
まだ落ち着いていたのは、
福岡ドームが2回目のダイエーの2軍選手でした。
これは、ある意味で、オールスターや日本シリーズよりも、熱い試合です。
2軍選手の晴れ姿を見ようと、親類縁者もかけつけますから、
観客席は、舞台の初日のような知り合いの熱気です。
個人ファンと、地元ファンが多いのが、2軍戦の特徴です。
宝塚の新人公演のような感じです。
阪神も、1年でいちばん注目されている試合だから、負けるわけにはいかず、
1.5軍の選手を送り込んできます。
ダイエーの選手も、ここでいいところを見せると、1軍に行けるので、
オーディションを受けるような気分で、つい力がこもります。
緊張するのではなく、力が入っているのです。
2軍にいる選手は、3種類です。
1.未来の1軍選手になる新人。
2.ケガと戦っている1軍選手。
3.スランプと格闘している1軍選手。
三者三様の熱い思い入れが、1軍にはない熱気を生み出しているのです。
2軍戦は、1軍戦よりも、熱い理由はここにあるのです。

                        中谷彰宏拝
P.S.
今度、一緒に、2軍戦を観に行こう。