拳を握りしめると、パワーがわいてくる。
(もりやまつるさんの『親父』)
親愛なる君に

もりやまつるさんのマンガ『親父』(小学館)全3巻を読みました。
思わず、拳をにぎりしめて、読んでしまいました。
主人公の親父は、ばかにされる「オヤジ」ではありません。
むちゃくちゃ強い「親父」なのです。
子供が、わがままを言うと、半殺しの目にあわせる怪物なのです。
子供でなくても、若者でも、大人でも、ヤクザでも、
わがままを言う人間を、徹底的にこらしめるのです。
血走った目、盛り上がる筋肉、食いしばる歯。
親父は、不良になりかけた息子に、教えます。
「拳を握りしめろ。もっと、握りしめろ。もっと、握りしめろ。
苦しい時は、その握りしめた拳を忘れるな」
そして、親父は、ただの乱暴者ではないことが、わかります。
「決して、女を、殴るな」
怪物の親父は、娘にも、妻にも、母親にも、徹底的に優しいのです。
死体を埋めるように一心不乱にツルハシをふるいながらも、
「すまん。俺は、感情を抑えられんのじゃ」
と、宮本武蔵のようにストイックに悩むのです。
ぜひ、実写版で映画化したいけど、
さて親父のキャスティングが、大変です。
いっそのこと、宮崎駿さんのジブリでアニメ化するといいと思います。

                        中谷彰宏拝
P.S.
このマンガを読んで、君がどんな感想を持つか、楽しみです。