苦労した人ほど、マナーがいい。
(上月マリアさん)
親愛なる君に

上月マリアさんの『大切にされる女性のプロトコール・マナー』
(青春出版社)を読みました。
マリアさんのマナーの本が、面白いのは、
「こうしなければならない」という規則より、
「なぜそういうマナーがあったほうがいいのか」という気持ちを、
教えてくれるからです。
マナーは、規則ではなく、気持ちなのです。
たとえば、おしゃれなレストランにジーンズで行ってはいけない。
それは、ジーンズを否定することではないのです。
おしゃれなレストランでサービスをする人は、
お客様に、「日常を忘れて楽しんでもらうこと」に、全力を注いでいます。
お客様も、「一生懸命働いた日常を忘れるため」に、来ているのです。
だから、そんな場所に、日常を思い出させるものを持ち込んでしまうのは、
みんなの努力を台無しにすることなのです。
言ってみれば、誰かを喜ばそうとお誕生日のサプライズパーティを
みんながコツコツ準備しているのに、
「お誕生日、おめでとう」と、ばらしてしまうのと同じくらいの罪なのです。
なぜそのマナーがあるのかという意味がわからないと、
サプライズパーティをばらしてしまう罪をおかしても、気づかないのです。
大阪では、「場を、しらけされる」というのが、
最も大きな罪です。
マナーは、「場を、しらけさせない」ために必要なのです。
素敵な女性とは、「場を、しらけさせない」女性なのです。
だから、場が変われば、しらけさせないマナーも変わるのです。
「場を、しらけさせない」ことが、思いやりなのです。
マリアさんは、人生でたくさん苦労してきて、
マナーの基本になる思いやりを磨かれたんですね。

                        中谷彰宏拝
P.S.
君が今している苦労は、素敵な女性のマナーになるよ。