コンペに負けることで、より創造的になる。
(安藤忠雄さん『連戦連敗』)
親愛なる君に

安藤忠雄さんの『連戦連敗』を読みました。
自分の建築への夢を語る本に、『連戦連敗』というタイトルをつけるところが、
さすが天才建築家です。
建築家は、コンペ(競合)の連続です。
どんなにいいアイデアを思いついても、採用されなくては
実現化しないところが、つらいところです。
〈最も優れたアイデアは、2位になる〉とも言われています。
〈なんか新しいことができた、と思たら、落選ですわ〉
と、笑いながら話せるところが、安藤さんの
恐るべきクリエイティビティに対する自信です。
〈負けた時のほうが、勉強になる〉とも安藤さんは言います。
コンペは嫌いと参加しない人もいます。
でも安藤さんは、言います。
〈コンペに参加して考えることで、ライバルの作品をより深く理解し、
そこから学ぶことができる〉
僕は、博報堂時代、毎日がコンペの連続でした。
中学生時代に、僕は、将棋をしていました。
棋譜をつけていて、表紙に僕がつけたタイトルは、
〈連敗記録〉でした。
これからつける棋譜のノートとしては、縁起の悪いタイトルなのですが、
そこにあえて〈連敗記録〉とつけるあたりに、
負けず嫌いの中学生の僕がいます。
そして、いまは、ボウリングの試合で〈連敗記録〉を続けています。

                        中谷彰宏拝
P.S.
負けた時、一緒に、笑ってくれる君が好きだよ。