奇人が出ても、コントではなく、ドラマになるところが面白い。
(『荒波次郎』)
親愛なる君に

王立劇場の『荒波次郎』を観てきました。
後藤ひろひとさんは、奇人を作るフランケンシュタイン博士なんですね。
普通、奇人を舞台に上げると、
コントになってしまって、収拾がつかなくなるんだけど、
後藤さんは、収拾をつけて、お芝居にしてしまうから、凄い。
お客さんは、奇人に見とれて、
お話についてこれなくなってしまうんです。
出てくる多くの奇人が、それぞれ別の作品で主役をはれちゃうんです。
舞台には、こういうのは許せるっていうひとつのお約束がお客さんとの間に
あって、登場人物はその約束の範囲内で動ける……はずなんです。
でも、今回だと、3つのルールが入り交じって、成立しているんです。
1.荒波太郎・次郎・飯塚・まり子のお約束。
2.芋宮殿みつる・ジャガーのお約束。
3.腹筋善之介のお約束。
特に、腹筋善之介さんのパワーマイム(パントマイムではない)が、
飛び道具ではなく、ドラマの重要な核(八犬伝の球のような)
になっているところが、凄い。
スポーツにたとえると、手さえ使わなければ、
バットと射撃用の銃を使ってもいいサッカーみたいな感じなのです。
僕は、新人なのに偉そうな芋宮殿みつる(44歳に見える23歳)が
主役になる作品が、観たくなりました。

                        中谷彰宏拝
P.S.
毎日のゲスト出演も、全部見たくなってしまった。
DVDを出す時が、楽しみです。