田村正和さんが、ビートたけしを演じる狂気。
(『明智小五郎対怪人二十面相』)
親愛なる君に

ビートたけしさんのドラマ『明智小五郎対怪人二十面相』を見ました。
これは、今年もっともやられたドラマでした。
原作の雰囲気にきわめて忠実に作りながら、
違和感なく、原作のファンである僕が見て、これは面白い作品でした。
普通、原作のファンだと、映像を見てガッカリしたりするのだけど、
これは、原作を超えたかもしれません。
たけしさんの二十面相と、田村正和さんの明智小五郎というキャスティング以外、
この企画は、ありえなかったですね。
10年前から依頼して、時期を待ったそうです。
変装のCGも凄かったけど、
ラストの二十面相と明智の対決シーンが圧巻でした。
本物の明智と、二十面相が扮する明智のセリフによる対決です。
田村正和さんが、本物の明智と偽者の明智として、対決するのです。
偽者の明智は、演じるのは、顔は田村さんですが、声はたけしさん、
そして、表情がたけしさんなのです。
田村さんが、たけしさんの表情を作るところが、怖かった。
『フェイス・オフ』より、怖かった。
古畑任三郎では出せなかった芝居です。
演技をしないたけしさんの狂気と、
演技で見せる田村正和さんの狂気のガチンコでした。
これまでのどの『怪人二十面相』をも、しのぎました。

                        中谷彰宏拝
P.S.
本で、読み返してみよう。