初対面の前に、もう出会っている。
(G2)
親愛なる君に

本を読んで、面白いなと感動する。
作者名を見て、へえー、こんな面白い人がいたんだ、初めて知ったと確認する。
本棚にしまう時、同じ作者の本が、すでにあることを見つけて、感動する。
初めて読んだと思った作者が、実は、前にも読んだことがあった。
そして、前に読んだ時も、面白いと感じて、
たいていは捨ててしまう本なのに、その本は本棚に殿堂入りしていた。
その時は、作者の名前を確認し忘れていた。
しかも、その間、かなり間があいていた。
こうなると、その作者とは、腐れ縁になる。
お芝居でも、ある。
『ダブリンの鐘つきカビ人間』で、後藤ひろひと脚本とG2演出にはまった。
それから、『ホセ中村とギャッフン・ボーイズ』『荒波次郎』と観た。
その後で、昔観て感動した『子供の一生』を観た。
中島らも脚本、古田新太怪演に気を取られていた。
パッケージに書かれた「演出G2」の文字に、
真犯人を発見したように驚いた。
「はじめまして、ご無沙汰しています」なのだ。
これで、腐れ縁になってしまった。

                        中谷彰宏拝
P.S.
君とも、何度も出会って、腐れ縁になった。