カメラも、本も、包み込む女性器だ。
(荒木経惟さん)
親愛なる君に

天才編集者・ナラちゃんが、言いました。
「中谷さんは、書くアラーキーですね」
量の多さを、ナラちゃんは言ってくれたんだけど、
天才カメラマン・アラーキーさんは僕もカッコいいと思うので、うれしかった。
一流のカメラマンは、文章を書いても一流です。
アラーキーさんも、写真集だけじゃなく、本も面白くて、いっぱい読んでます。
『眼を磨け』(平凡社)は、タイトルだけで、買ってしまいました。
タイトルだけで、おつりもいらないくらいなのに、中身もやられた。

〈写真は、空間を撮るのではなく、時間を撮る〉
そうかあ、僕も、本で、時間を書こう。

〈カメラは、男性器じゃなくて、女性器〉
そうかあ、本も女性器かな。
読者に挿入されているんだね。

〈写真は、腰で撮る〉
そうかあ、本も腰で書こう。
村西とおるカントクの「ハメ撮り」みたいに「ハメ書き」というのが、あってもいいね。

〈感じ撮る。知性が先走ってはいけない〉
そうかあ、本もそうだよね。

〈ピントとボケの間で楽しむ〉
そうかあ、言葉も、焦点が深くてピントばっちりもいいけど、
ちょっとピンぼけくらいの言葉があってもいいね。

ラジオの番組のゲストで来た時、
久本マチャミが、「撮って」と言うやいないや、
アラーキーさんは、インスタントカメラを片づけていた。
マチャミが、顔を作る0.01秒前にシャッターは、押されていた。

                        中谷彰宏拝
P.S.
これから本は、女性器だと思って、読んでね。