人が飛び降りる時の音を、聞いたことがありますか?
(9.11・神様からの宿題)
親愛なる君に

リアルタイムでは、スポーツしか見ないのに、
『0911・カメラはビルの中にいた』(日本テレビ系)は、
はさまれるCMにぐっとガマンしながら、最後まで見てしまった。
たけしさんが、「作り物の映像が、いかに現実にかなわないか」
と言っていたけど、それは、CGがどうかということではない。
ドラマは、結末はどうなるんだろうとハラハラしながら見るのに対して、
ドキュメンタリーは、結末を知っている。
だからこそ、ツインタワーに救助に入っていく消防士たちに、
「崩壊するから、早く脱出して」と、叫んでしまうのだ。
いちばん怖かったのは、次から次へと続く、音だった。
「ドシンッ!……ドシンッ!ドシンッ!……」

それがはるか100階まで炎に追いかけられて
とうとう飛び降りた人たちの
最期の音だということを、消防士たちは、知っていた。
人が飛び降りた時に出る衝撃音を、サラリーマン時代、聞いたことがある。
わずか7階でも、いったい何の音かわからないくらい大きな音だった。
それが、100階からの音となると、こうなる。
それは、怨念の音だ。
しかも、雨のように、次から次へと続くのだ。
テレビを消したあとも、あの音が続いていた。
「ドシンッ!……ドシンッ!ドシンッ!……」

                        中谷彰宏拝
P.S.
貿易センタービルを建て直すということは、
自分の考え方を立て直すチャンスを神様がくれたのだ。
テロリストを憎むだけなら、テロリストと同じレベルだ。
テロリストをテロに走らせてしまった自分たちに何かできることはなかったか、
を考え直すという神様からの宿題だった。